「海外生活にかかわる有害動物」
害虫Q&A

海外邦人医療基金(運営委員)
長崎大学熱帯医学研究所(非常勤講師)
大利 昌久



Q1. 海外でペットと暮らすときには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
A1. <回答者>東京医科歯科大学国際環境寄生虫学助教授 篠永 哲

 外国で生活していても、イヌやネコなどペット動物を飼う人は多い。警護用にイヌを飼うのと、ペットとして室内でイヌを飼うのでは、目的の違いはあっても同じイヌに寄生する昆虫やダニの種類は共通である。

 知っておきたいことは、これらの中に、ヒトにも寄生するいわゆる人畜共通種がいることである。シラミは、寄生する動物を厳密に選ぶので、動物間での共通種はいないが、ノミは別でヒトと動物のいずれからも吸血する。国内で現在普通に見られるノミは、ほとんどがネコノミであるが、外国ではヒトノミやイヌノミも見られる。ペットによって一旦室内にノミを持ち込むと、駆除が困難な場合がある。ノミの幼虫は、カーペットや床の隙間、ペットの寝具の下などで、成虫の血糞、ヒトやペット動物の体からの脱落物(ふけなど)を食べて成長する。屋外では、イヌ小屋の下の土中などにいて、蛹化する。対策としては、殺虫剤散布により幼虫の発生を押さえなければならない。ペットに寄生している成虫が見つかれば、殺虫剤含有のシャンプーや粉剤を用いる。最近は、昆虫の成長を阻害する物質を含む経口剤も開発されている。これを投与すると、吸血したノミが産卵しても孵化することができない。

 イヌやネコには、それぞれ特有のヒゼンダニ(動物疥癬の原因種)が外部寄生する。ヒゼンダニ類は、皮膚内にトンネルを掘って生息するので、重症の場合には、皮膚がカキ殻状になる。動物のヒゼンダニも、ヒトに一過性に寄生するが、トンネルを掘って繁殖はしない。ノミと違ってヒゼンダニを見つけるのはかなり難かしい。獣医などに確認してもらうとよい。

 イヌを野外に連れて行くと、大型のマダニに寄生されることがある。このダニが再びヒトに吸着することはない。



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