海外に赴任してから
慢性肝炎の悪化を防ぐことと、定期的な健康診断を受けることが最も重要です。
B型慢性肝炎の場合は、時に急性増悪をきたすことがあり、注意が必要です。やはり過労はさけ、睡眠時間は充分(できれば8時間以上)とることです。禁酒の必要はありませんが、アルコールは控えめにして下さい。ビールなら1本以内、日本酒なら1合以内、ウィスキーならシングルで3杯以内にして下さい。
C型肝炎の場合、人にうつす危険は低いですが、B型肝炎(特にHBe抗原陽性でウイルス量が多い場合)では他人に血液や体液を介してうつす危険があります。髭を剃っている時や怪我をした時など、出血した場合は、他人に血液をさわらせずに、自分で処理することが大切です。また、セックスを通じて他人にうつす危険は大きいので、海外赴任中、夜遊びなどは絶対にしないことです。逆に現地の人と夜遊びをして肝炎やエイズをうつされることもあります。配偶者が、もし、B型肝炎に対する抗体を持っていない場合は、赴任前にワクチンを打つことをおすすめします。食事を一緒にしたり、入浴したり、といった普段の生活では肝炎をうつす心配はありません。
C型肝炎の場合には徐々に進行することが多く、急性増悪は比較的少ないことが多いです。又、人にうつす危険は少ないのですが、やはり可能性はあるので、B型肝炎の場合と同様な注意は必要です。
現地の医療事情によって難しい場合もありますが、理想的には半年毎に採血し、肝機能チェックと、可能でしたら腹部超音波検査を受けることをすすめます。特に超音波(エコー)検査は、肝癌の早期発見に極めて重要です。
もし、現地の医療事情で、なかなか検査を受けられない場合は、一時帰国された際に、是非検査を受けて下さい。
慢性肝炎の食事療法は、偏りのないバランスの良い食事をとることが大切です。必須アミノ酸(豆類、豆腐などの植物性蛋白食品には多く含まれている)を充分に含んだ良質のタンパク質をとることが大切です。脂肪分は控えめにし、ビタミンやミネラルが不足しないように野菜や果物も充分にとることです。便秘はよくないので、野菜など繊維の富んだ食事をすることです。カロリーのとりすぎは脂肪肝をきたし、肝機能の悪化をまねきます。
慢性肝炎の治療法では、有効な飲み薬はなく、インターフェロンという注射薬が、ある程度有効であるといったところです。肝臓に効く(?)という宣伝にのせられて、漢方薬や栄養剤などをやたらに飲んだりすることはやめましょう。思わぬ副作用がでることがあります。そんなわけで、過労やアルコールの飲み過ぎによって、慢性肝炎を悪化させないことが重要です。
又、他人にうつさない注意も必要です。もし肝硬変に進みかけた場合は、肝癌や食道静脈癌などといった危険も増加しますので(表2)、早めに海外赴任を切り上げて帰国することをおすすめします。