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虫歯はカリエスとも呼ばれ、日本国内においても罹患率が90%を超えており、国民病の一つといわれております。そして、歯科に対する国民の要望も高く、近年の社会問題にまでなっております。さらに、治療中におこる歯の痛みが激烈であることと、治療機具の発生する音と振動による恐怖感のため治療の足が遠ざかりやすいのも事実です。
一方、海外赴任者にとっては途上国において、医院の衛生性、スタッフの言語性、術者の技術的な困難性が重なり歯科治療が受けづらいのが実情です。この点を踏まえて、健康管理の一環であるカリエスの予防について解説してみます。
歯の役割
1 咀嚼:食物を細かくかみ砕くことによって、胃腸系での消化を助けます。カリエスが進行するとこの咀嚼機能が低下するため胃腸障害の原因にもなります。総義歯になると咀嚼能力は1/3以下に低下します。
2 発音:明瞭な発音には、特に前歯が関係しております。カリエスによる前歯部での欠損は発音に必要な空気が漏洩するため聞きづらい言葉になります。
3 審実:笑うときに口元を隠す日本の習慣と異なり、外国では口元の美しさや清潔感を特に気にしますので、歯は顔の審美性に大きく影響しております。
力リエスの分類
カリエスは自然治癒が認められないため、放置すると病巣がより深部へと達していきます。歯は外側より体内で最も固いエナメル質、本体である象牙質、血管や神経が走行している歯髄に分けられます。その歯質の崩壊の程度によってC0-C4に分類します。

Co:カリエスとはいえない状態で歯の表面の白濁です。
C1:エナメル質内に限局したカリエスです。着色もみられますが、痛みは伴いません。
C2:カリエスが象牙質まで達した状態です。冷たい水や甘いものによって一過性の痛み(しみる)を感じます。
C3:象牙質のカリエスが進行すると、歯髄へ加わる刺激や、細菌の産生物による刺激のため歯髄に炎症が生じます。初期は冷刺激で感じる痛みが主体で、処置をすれば歯髄の炎症は回復します。
しかし、放置し細菌が直接歯髄に進入するとズキンズキンという痛みを生じます。この痛みは強烈で夜分に出現します(歯髄炎)。温熱刺激により痛みを強く感じ、冷刺激で軽減します。歯髄死が起こると、痛みはなくなり慢性化します。
C4:歯髄死の後も歯は崩壊をつづけ、歯根のみになります。痛みは伴わないものの、徐々に悪化し、全身状態が悪化したりすると、炎症は再び急性化します。そして、歯髄だけでなく歯周組織にまで炎症が起こり、腫脹や排膿を伴います(根尖性歯周炎)。
海外赴任中に起こりやすいカリエス
海外赴任前に治療を終了しても、人体の老化に伴い歯肉が退縮すると、露出した根面はエナメル質に覆われていないため非常にカリエス(根面う蝕)になりやすいので注意が必要です。また、不適切な歯ブラシの便利や強力な横磨きによって歯は磨耗し(楔状欠損、WSDともいう)、カリエスが生じやすくなります。食生活に関しても、途上国においては甘いものを食する機会が多いため、歯の充填物の周囲にカリエス(二次カリエス)が生じることもあります。
カリエスの予防
歯科の治療が困難とされる地域においてはことさら、健康管理(カリエスを生じさせない)に努める必要があります。カリエスの予防の要点は以下の点です。
1歯の抵抗性の増強
耐う触作用を持つフッソ入り歯磨剤を使ったブラッシングによって、エナメル質の結晶構造を強化します。以前は歯磨剤を使わないブラッシングの指導でしたが、現在はフッソ入り歯磨剤の使用が推奨されております。
2カリエス原因菌数の減少
最も一般的な手段がブラッシングです。しかし、ブラッシングについて歯科医と海外赴任者の間には、まだ重要性の認識についてズレがあり、正しいブラッシングができている方は少ないようです。現在はスクラビング法が(次項参照)が主流になっております。
3食事要因の改善
途上国での飲料、食事は砂糖が多いといわれています。また砂糖は間食との関連で肥満の問題も指摘されております。そのため、砂糖の摂取量を減少させる努力が必要です。
最近はカリエスを生じない代用糖(パラチノース)も普及しております。
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カルテに記載される歯科充填物の用語
AF:アマルガム(水銀)充填
IN:鋳造した金合金による充填
RF:レジン(科学樹脂)による充填
Cr:クラウン(金合金冠)
Br:ブリッジ(架橋金属冠)
PD:パーシャルデンチャー(部分床義歯)
FD:フルデンチャ−(全部床義歯)
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まとめ
カリエスはほとんどの日本人が経験し、慢性的に進行しながら急性期には激痛を伴う疾患です。海外赴任前に治療はもちろん(最近は企業も十分対応できているようです。)、さらに、海外にて歯科の門をくぐらなくてもすむように、予防の方法まで考慮することが望まれます。
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