基本的には血圧の治療、むしろ管理という方が適切と言えますが、二次性高血圧も本態性高血圧も血圧を正常城に保つ事です。二次性高血圧については、基礎になる疾患の原因治療で、時には外科的に治療をすることもあります。本態性高血圧では服薬治療のみならず、高血圧因子の管理も大切です。年齢、性別、家系などの因子は、如何ともし難い訳ですが、食性、肥満、飲酒量等は改善できうる筈の因子です。
食事の因子は大切ですが、食塩摂取量と高血圧とは密接に関連しますので特に重要です。因みに、食塩摂取量の多い地方では高血圧の発生頻度、更には脳卒中の発生頻度が高く、この様な地方で減塩食運動を行った結果、脳卒中が激減したという事実もあります。
現在、日本人の平均食塩摂取量は、12g前後とされていますが、減塩の目標は、一日10g以下、望ましくは6g程度です。欧米での平均食塩摂取量は6〜7gとされていますので、不可能ではないと思われます。和食では、如何しても塩が多く、味噌、醤油、漬物等全て塩が中心です。因みに味噌汁一杯1〜2g、醤油大匙一杯3g、沢庵30gあたり7g位含まれています。減塩は高血圧管理の第一歩ですので、高血圧症の方はまず低塩食に慣れる事、香辛料〜血圧には影響ありません〜や出し汁等を巧く使って塩を少くする事です。
事実、日常診療でも、食事の注意をはじめ、体重管理、適度の運動等により服薬量軽減や不要の例は良く経験するところです。
服薬治療について「一旦薬を服むと、一生服み続けなければいけないから」と服薬を躊躇される方が、ままおられます。確かに、素因や身体状況で一生服まざるを得ない方が多くおられますが、一方では牛活習慣や環境改善で、服薬が不要になる場合も屡々経験します。時には致命的にもなり得る、高血圧に因る疾患の発症を考えれば、徒に服薬を怖れるべきではないと思います。
高血圧管理上重要な事に治療の連続性の問題があります。それは服薬している場合など特に問題で、不規則な服薬の場合血圧が大きく動揺したり、リバウンドといって服薬前より却って悪化する事があるからです。又、主治医を転勤等で換える際には、必ず経過の紹介状を貰って置く事も大切です。特に海外赴任の場合、少なくとも服薬中の薬剤の種類、量、それも海外各国では同じ薬品でも、商品名が異なったり、錠剤なら含有量が異なる事が多くありますので、必ず一般名と投与量を書いて貰って下さい。
結語
高血圧の頻度は、40歳台では約14%、境界域高血圧は約25%近くおり、50歳台では更に増え高血圧は約20%、境界域高血圧は27%とされています。
元来高血圧は自覚症が殆ど無く、管理を受ける動機に乏しい疾患と言えます。然し、前にも述べたように、三大死因の近因、遠因でもありますので、生活に勤務に支障なく、永く質の高い人生を享受するためには管理が不可欠です。又その際管理を医師だけに任せず、疾患を理解し、改善する努力を医師と共にするという事が何より重要と思います。海外生活はそれ自体ストレスになり得ますし、受診も医療先進国ばかりではなく、発展途上国もあります。しかし、大切なのは自己管理の意識と医師との意思疎通の意欲と思います。
甚だ不充分ですが、本稿が海外勤務される方が健康に生活されるために些かでも御役に立てればと願っております。