「海外赴任と成人病」
異常の早期発見と対処のしかた

海外勤務健康管理センター
健康管理部副部長
福村 基之

はじめに

 健康診断(以下、健診)とは、成人病をはじめとする病気を早期に発見すると共に、一般的な健康状態をチェックすることを目的として行われます。

 しかし、スクリーニングとしての意味あいから検査中心となり、また多数を対象とする事より勢い検査はコストが低く、容易な手技で、短時間で行え、かつ健診者には苦痛が少なく、安全性の高い事が求められます。さらに、スクリーニングの精度という観点から、見落とし(偽陰性)や読み過ぎ(偽陽性)がいずれも少ないことが望まれます。

 以上のように、健診には様々な条件や問題が含まれている事を充分に理解した上で、以下の解説を読んで頂きたいと思います。特に、海外へ赴任される方々の場合、異郷での仕事のため体調を崩し易く、日本国内には稀な感染症にかかる危険性が高く、また日本でと同様の手軽さで外国の医療機関を受診する事は難しい事があります。よって、海外赴任者にとってその健診の重要性は高く、各人が充分に各健診項目の結果を理解するとともに、その限界も知る事が、日本国内にいる時以上に大切な事です。

 労働省は、平成元年6月労働安全衛生法を改正し、海外派遣労働者の健康診断に関する規定を新設し、事業者は
(1)労働者を本邦外の地域に6ヶ月以上派遣するとき(派遣前)
(2)本邦外の地域に6ヶ月以上派遣した労働者が帰国した時(派遣後)
健康診断を必ず実施しなければならないとしました。(安衛則第45条)

 その健診項目は、一般健診項目(表1)に準じて行われ、さらに加えて労働大臣が定める6項目の検査(表2)を、医師が必要と認めた場合に行う事としています。

 以下、この健診項目に沿って解説を行いたいと思います。

表1 一般健康診断項目

 1)既往歴、業務歴の調査
 2)自覚症状、他覚症状
 3)身長、体重、視力及び聴力
 4)胸部X線検査、喀痰検査
 5)血圧の測定
 6)尿検査(尿中の糖、蛋白)
 7)貧血検査(血色素量、赤血球数)
 8)肝機能検査(GOT、GPT、γーGTP)
 9)血中脂質検査(総コレステロール、中性脂肪)
10)心電図検査


表2 医師が必要とする健康診断項目

 1)腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)
 2)血糖検査
 3)血液中の尿酸の量の検査
 4)B型肝炎ウイルス抗体検査
 5)ABO式及びRh式の血液検査(派遣時のみ)
 6)糞便塗抹検査(帰国時のみ)


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